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この時期オリンピックが開催されていますが
パラリンピックはご覧になられたことはありますか。
2016年、リオデジャネイロパラリンピックの閉会式で踊られたバレエダンサーの大前光一さんという方がいらっしゃいます。
学生時代からダンス教室に通い大阪芸術大学でバレエを専攻して卒業後
24歳でバレエ団の入団オーディション最終選考直前に飲酒運転の車にひかれて左脚の膝から下を失いました。
4ヶ月後、練習に再開しバレエ団のオーディションに挑みますがプロにはなれないと宣告されます。
10年ほどは足を引きずりながら、日々を食いつなげるための生活を送っていたようですが
その後、バレエダンサーの身体や動きの勉強をして義足のダンサーとして踊りの技術を磨いていきます。
国内外のコンクールで1位を獲得したり、チャコットのイメージキャラクター、TV、CM、雑誌などのメディアにも多数出演
関西大学人間学部健康学科の客員教授も務めています。
日々、生徒さんたちからは「他の誰かは出来るのに自分はできない」
「自分が調子が悪い日に相手が調子が良いと落ち込む」
「自分より相手が良いポジションで踊っていると悔しい」などの声をよく聞きます。
人間や動物は上達するためには6割〜7割できる課題が最適だと言われています。
バレエのレッスン、お勉強、病院のリハビリの処方を考えたり、トレーニングの強さを決めるときなど参考にされている理論のようです。
もちろん、目的により難易度は調整します。
6割は出来る課題、4割は出来ない課題。
順番が覚えられないとか、頭では理解しているのに身体が思うように動かないなどさまざまだと思うのですが
難しい部分があるから大きく進化すると言われています。
だから、レッスン後は出来なかったからといってあまり落ち込まないように
これから進化するためのレッスンを受けたのだと思えたらいいですね。
あとね、自分より美しい人や能力が高い人、環境に恵まれている人たちは
生まれ持ったものもあるかもしれないけれど
必ずしもその力や環境を使いこなせているとは限らないし
悩みやコンプレックス、背負うものがあったりもする。
簡単そうに踊っているかもしれないけれど、心の中ではあおすじ立てて震えながら踊っているかもしれないよ。
自分よりも素敵な人たちは陰でとてつもない努力をしているものです。
今ある能力やポジションは最初からあったものではなくて
たくさんの孤独や苦しみの中もがいて、手に入れた力や環境だったりもする
そして、それを維持するために日々地道なことを続けていたりするものです。
「となりの芝生は青とは限らない」
でも悔しいときは悔しいし
それは自然な感情だから打ち消す必要はないよ。
「レッスン前後の心と身体の準備」のテキストのp.3にあるレッスン中の理想の感情のひとつでもあるからあってもいいの。
ただ、その感情を自分や相手を痛めつけない程度に上手に付き合うこと。
相手に嫉妬してしまうのは、あなたにもそうなれる可能性を秘めているから反応しているのかもしれないよ。
そして、「他人の幸せを喜べる人になる」ための心のお稽古をバレエを通して学んでいるのかもしれないね。
それもバレエの上達に繋がるよ。
自分よりも大変な環境の中で頑張っている人、尊敬できる人をジャンル問わず見つけるのも良いかもしれません。
つらいのは自分だけではないのだと思えるようになったり、勇気がもらえたり
モチベーションや気づきを与えてもらうこともあるから。
みんなもいつかその背中を追いかけられる人になれるかもしれないよ。